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HERE Technologies、物流企業対象の調査結果を発表 日本の物流企業にとってサプライチェーン全体の可視化は依然として困難なことが明らかに

APAC on the move 2023
東京
2023/05/29
  • HERE Technologiesが、アジア太平洋地域の輸送/物流業界の企業幹部1,300人(日本の回答者100人を含む)を対象とした初の調査結果を発表
  • 位置情報を利用している、または利用を検討している日本の物流企業が最も優先するのは、顧客の利益と持続可能性の目標
  • 日本の物流業界にとって、ブロックチェーン、ドローン、電気/自動運転車が今後最も有力なテクノロジーに

先進的な位置情報および位置情報技術のプラットフォームを提供するHERE Technologies(以下、HERE)は本日、日本を含むアジア太平洋(APAC)地域の輸送/物流(T&L)業界従事者を対象にした、初の調査結果『APAC On The Move』を発表しました。この調査は、サプライチェーン、車両および物流管理を左右する最新の技術トレンドと導入の現状について、調査対象者となった輸送/物流企業幹部から得たインサイトを提供する目的で実施されました。

 

2023年APAC On The Moveの重要な調査結果の1つは、コロナ禍が始まってから3年が経過した現在でも、日本の物流企業にとって、エンドツーエンドのアセット追跡と荷物の可視化が依然として難しいことです。調査に参加した日本の物流企業は、リアルタイムかつエンドツーエンドでのサプライチェーンの可視化を実現するうえで、技術導入の難しさが最大の障壁となっていると回答しています。

 

世界の多くの国でドライバー不足は深刻な問題ですが、日本ではこれを既存ドライバーの勤務時間を延長することで補ってきました。しかし日本の物流業界は、2024年4月1日よりトラックドライバーの時間外労働の上限を年間960時間に制限するという規制強化「2024年問題」に対処する必要があります。

 

技術パートナーシップと実装が大きな問題

日本で調査に参加した企業の4分の1以上(日本: 26%、APAC平均: 52% 以下同様)が、適切なパートナーやサプライヤーを見つけることが技術の実装における最大の障壁だと回答しています。そのほかコスト(21%、APAC: 44%)、社内の専門知識や人材の不足(16%、APAC: 29%)が日本の物流企業の大きな懸念となっています。

 

調査に回答した物流企業は、コストと時間と多大な労力を要するような大幅なシステム変更なしで簡単に導入できるターンキーソリューションを望んでいます。HEREの調査によれば、既存のインフラにソフトウェアを統合する難しさ(21%、APAC: 52%)、ソリューションを運用管理できる熟練した人材の不足(19%、APAC: 35%)、ソリューションを実装する時間の不足(17%、APAC: 39%)が、物流アセット追跡と荷物/貨物モニタリングソリューションの導入を妨げる主な障壁となっています。

 

日本の物流企業はリアルタイム追跡に大きく頼っている

コロナ禍において、世界的なサプライチェーンにおける技術導入の難しさと手作業の脆弱性が露呈されました。回答した日本の物流企業の過半数(70%、APAC: 51%)はアセット追跡/荷物モニタリングソフトウェアを利用し、手作業での入力なしでアセット、荷物、貨物をリアルタイムで追跡しています。しかし一方で、今回の調査では、ソフトウェアの統合から熟練人材確保の壁にいたるまで、日本企業が今日直面している現実的な課題が浮かび上がっています。

 

自動化に関して、日本の回答者は自社が業界や競合他社と同列か、あるいは先行した立ち位置にあると確信しています。現在、日本の回答者にとっての位置情報の主な3つの用途は、カスタマーサービスの向上(21%)、到着予定時刻(ETA)の予測とトラック&トレース機能の使用(19%)、アセットの追跡(16%)です。

 

調査結果は、多くの日本企業が差し迫る「2024年問題」に備えた強いインフラを持っていることを示唆しています。業界がこの危機を迎えるにあたり、リアルタイムでアセットを追跡する動きは日本の労働力不足の軽減に向けた重要な前進となります。

 

顧客と持続可能性を優先

日本の物流企業は、追跡やモニタリングのソリューションを検討する際、顧客最優先の戦略を取っています。また、回答者の3分の2近く(60%、APAC: 40%)が、荷物/貨物モニタリングソリューションの構築または購入の動機として顧客満足度の向上を挙げています。同じ理由は、物流企業が将来の技術に投資する主な理由としても挙げられています(60%、APAC: 39%)。

 

日本は2050年までに排出量実質ゼロの達成を約束する136カ国の1つです。日本は2013年から2030年までに温室効果ガスの排出を46%削減するという中間目標に向け、カーボンニュートラル化も進めています[[1]]。したがって、持続可能性への取り組みが日本の物流業界の優先事項であるのも不思議ではありません。日本の回答者の56%(APAC: 39%)が、物流アセット追跡、荷物/貨物モニタリングソリューションを購入する動機として持続可能性への取り組みを挙げています。 

 

日本の物流業界は労働力不足の緩和策として未来の技術に注目

物流企業は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)によるリアルタイムモニタリングとデータ収集を利用し、十分に根拠のある意思決定を行うことができます。調査でも、日本の多くの物流企業がすでに何らかのIoT技術を導入していることが裏付けられました。日本の物流企業の間でIoTの用途として最も一般的なのは、倉庫管理(22%)、アセット追跡(19%)、在庫管理(18%)です。

 

将来に目を向けると、日本の物流企業の半数以上がブロックチェーン(58%、APAC: 27%)、ドローン(56%、APAC: 33%)、電気自動車(55%、APAC: 23%)、自動運転車(51%、APAC: 27%)への投資を計画しています。これらの技術は物流業界で、顧客満足度を高めるだけでなく、重要なリアルタイム情報へのアクセスを改善することで、意思決定を助ける(56%、APAC: 38%)、技術力を高める(50%、APAC: 39%)と認識されており、日本での労働力不足をさらに緩和すると期待されています。

 

コメント

  • ジオテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 CEO杉原博茂氏 

「日本の物流業界において、本調査にもあるよう『2024年問題』は、日本の物流網の維持にも影響を与える事態が想定されます。ジオテクノロジーズは、ミッション「地球を喜びで満たそう」の下、私たちがこれまで蓄積してきたビッグデータと最先端の技術を駆使して地球上で起こるさまざまな事象を予測できるようにすることで、さまざまな課題解決を目指しています。HERE Technologiesとのパートナーシップを通じ、物流業界の労働力不足など、直面する課題解決に貢献し、グローバルで鍛え上げられた、革新的な技術をご紹介し、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現で、社会と業界の皆様により一層、貢献できると確信します。

 

  • 三菱商事株式会社 産業DX部門インダストリーDX部長 田代浩司氏
    弊社出資先であるHERE社調査において、実に多くの企業が、『技術パートナーとのアライアンスが日本の物流産業におけるイノベーションの鍵であること』を表明しております。弊社の産業DX戦略においても、私たちは物流DX”をテーマに、HERE Technologies社とともにそのグローバルな知見やテクノロジーを活用し、物流産業改革に資するソリューション・サービス開発を進めております。私たちはHERE Technologies社とのパートナーシップを梃に、物流・モビリティ産業の変革に貢献し、社会課題の解決に資する持続可能なエコシステムの構築を目指して参ります。」

 

  • Frost & Sullivan社 モビリティ担当グローバルクライアントリーダー Vivek Vaidya氏

APAC地域のサプライチェーン/物流企業は、アセット追跡と荷物のモニタリングにおいて、進歩の段階にばらつきがあります。IoT、AI、ドローンに投資し、リアルタイムの可視化を目指す企業がある一方、多くの企業はまだ手作業で同じ目的を達成しています。現在、手作業に頼っている企業は、おそらく一足飛びで現代のソリューションを導入することになるでしょう。アセットや貨物をリアルタイムで可視化することへの意識は、コロナ禍以後に急速に高まり、今後も続くことが予想されます。このことは今後10年間のこの分野において、HERE Technologiesのようなソリューションプロバイダーに大きな成長の可能性があることを示しています。」

 

  • HERE Japan株式会社 代表取締役社長 枝隆志

「日本の物流業界は現在、急速な成長を遂げるとともに、ビジネスや消費者の需要に応えるために重大な構造的な変化を経験しています。物流業界は差し迫った『2024年問題』に対処すると同時に、業務の最適化、効率化、持続可能性の目標達成に向け、位置情報を利用したデジタルトランスフォーメーションに乗り出す必要があります。これにより最終的な収益を増やすだけでなく、この重要な業界に人材を誘致し、定着させることも可能となるでしょう。」

 

アジア太平洋の地域ごとのすべての結果とデータについては、APAC On The Move (英語)をご覧ください。

 

APAC On The Moveについて

HERE Technologiesが発行した『APAC On The Move』は、アジア太平洋地域の輸送/物流企業から得られたインサイトについて解説しています。この第1回目の調査には、オーストラリア、台湾、インドネシア、インド、日本、マレーシア、シンガポール、タイの輸送/物流業界の1,300人の企業幹部から2023年3月に集めた市場調査データとその分析が含まれます。『APAC On The Move』は、お客様やパートナーの皆様に、この地域の輸送/物流業界を左右するトレンドやベストプラクティスをより深く理解していただくことを目的としており、企業がサプライチェーン、車両および物流管理における現在の機会をとらえ課題を乗り切るためのガイドとして役立ちます。

 

※調査概要:

調査期間:20233

調査機関:自社調査

調査対象:オーストラリア、台湾、インドネシア、インド、日本、マレーシア、シンガポール、タイの輸送/物流業界の企業幹部

有効回答数:1,300名

調査方法:インターネット調査

 

HERE Technologiesについて

HEREは、約40年にわたり、地図と位置情報技術のパイオニアとして活動しています。今日、HEREのロケーションプラットフォームは業界で最も完全なものとして認識されており、世界中の組織や企業向けにロケーションベースの製品、サービス、カスタムマップを供給しています。自律走行やシームレスな物流から新しいモビリティ体験まで、HEREはパートナーや顧客がデータを管理し、プライバシーを保護しながらイノベーションを起こせるようにします。HEREがどのように世界を前進させているかは、here.com(英語)でご確認ください。日本語での情報はhttps://www.here.com/jpをご覧ください。

 

報道関係者からのお問い合わせ先

HERE Technologies

Jordan Stark

+1 312 316 4537

Jordan.stark@here.com

 

株式会社井之上パブリックリレーションズ内

HERE広報担当:

鈴木/リットウィン